(2)法花と浄土法問次第(2)「それでは今から読むから聞いといてや。間違えるかもしれんけど、それは覚悟しといて。学のある坊さん以外分からん言葉ばかりやからな。いくで。 ~天正七年五月廿七日、安土城に於いて法花と浄土法問次第 浄土問う、法花(法華)八軸の中、念仏の義ありや。 答、日光、念仏有り。 同じく問う、念仏の義あらば、無間(注1)に堕ちると謂(い)う其の念仏を、なんぞ法花に説くや。 日光、答えず。 法花問う、法花経の説く弥陀と浄土の弥陀と同じか異なるか。 浄土の答、弥陀はいずくにあるも一体。 法花問う、然らば何んぞ浄土門に、法花の弥陀を捨閉閣抛(注2)と言うや。 浄土の答、捨閉閣抛と言うは念仏を捨てよと謂うに非ず、念仏を修する機の前には、念仏のほかの余行を捨閉閣抛と言うなり。 法花問う、然らば、念仏を修する機の前に、法花を捨てよという証文は何の経論にあるや。 浄土の答、これあり。浄土の三部経に、善立方便顕示三乗とあり、その上に一向専念無量壽と云々(うんぬん)あり。 法花閉口(注3)す。 法花問う、無量義経にいう、以方便力四十余年未顕真実と説いてある故、爾前(注4)の経を捨てるなり、浄土経は方便なり。 浄土の答、爾前の経を捨てるならば、方座第四の妙の一字は捨てるか捨てざるか。 法花答えず。~ ここで、法華側が負けたということになっている。分かった?。分からんわな。わしも分からん。それで、次は詫び証文の内容や。 (続く) [注1=むけん=無間地獄の略、日蓮は法然の唱える念仏が無間地獄に堕ちる行為と説いた。注2=しゃへいかくほう=法然の浄土門に入り雑行を捨てて正行を立てるという説で、捨てるという意味で捨閉閣抛の言葉を使った。注3=へいこう=負けて屈服すること。注4=じぜん=前にあげた、という意味。注5=ごうしゅう=近江の国] ジャンル別一覧
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